普段のお手入れ

革のお手入れの方法と頻度 〜美しく長持ちさせるオイルメンテナンス

暮らしのパートナーとして活躍する革製品は、使えば使うほど味がでて、愛着がわいてくるもの。毎日手で触れることも革のケアにつながりますが、ずっと使うためには定期的なお手入れも大切です。革製品を長く愛用するために、知っておくと役に立つ基本のオイルメンテナンスをご紹介します。

お手入れのタイミングと頻度

革が乾燥すると、人の肌と同じようにひび割れを起こします。革の表面(銀面)にひび割れが起こると元に戻せないため、定期的な保湿「オイルメンテナンス」が欠かせません。

お手入れのタイミングや頻度は、革全体に手で触れる機会が多い財布やキーケース、ステーショナリーグッズなどの小物と、触れる機会が少ない鞄とでわけて考えます。

革小物の場合

普段から手で触れる機会が多い小物は、使っているだけで自然と全体が保湿され、色ツヤがうまれ革が育ちやすいという特徴があります。

それでも、小物を使いはじめる前にオイルメンテナンスをしておけば、革に油膜ができて汚れにくい状態に保つことができます。革を美しく育てるために、ひと手間かけてあげることをおすすめします。

さらに使っているなかで「革が乾燥してきたな」「さっぱりしてきたな」と感じたら、メンテナンスをおこないます。1シーズンに1回程度、革専用のオイルで保湿してあげてください。

革鞄の場合

ハンドルや開け口以外のパーツは触れる機会が少ないため、定期的にメンテナンスをおこなうことが大切です。ハンドルだけ黒ずんだり、手でよく触れる箇所ばかり色が変わったりしないように、2ヶ月に1回は保湿ケアをほどこします。

定期的にお手入れをすれば、革全体を美しく経年変化させることができるうえに、油膜が水滴から鞄を守ってくれるため、水染みを防ぐ効果にも期待できます。

革のお手入れに必要なもの

・革用のブラシ
・革のメンテナンスオイルまたはクリーム
・スポンジor布(オイル・クリーム用)
・乾拭き用の布

革を傷つけないように、拭きとり用の布は綿など柔らかい素材のものを使用します。

お手入れの手順

革のメンテナンスの流れは、人のお肌のケアと同じです。まずは汚れを落とし(クレンジングする)、それから保湿します。この繰り返しで、革は美しく経年変化していきます。

1. 革用のブラシや布で革表面のほこりを落とす

メンテナンスにおいて忘れがちなポイントが「汚れの拭きあげ」。オイルを塗る前に、革の表面のほこりや手垢をブラシや布で落とします。汚れやほこりが革に沈着してしまわないように、必ず拭きあげてください。

拭きあげの際には、ブラシや布を使ってやさしく汚れやほこりを落としていきます。縫い目も忘れずに拭いてあげましょう。

汚れがひどい場合には、ブラシや布でほこりを落とすだけでなく、かたくしぼった濡れタオルで革の表面を拭きあげます。汚れを水気でほぐすようなイメージで、やさしくゆっくりと拭きとっていきましょう。

2. スポンジまたは布にメンテナンスオイルを少量とる

きれいな布に、オイル(クリーム)を少量とります。使う量は小物や鞄の大きさによって調整してください。

塗りすぎると染みになってしまうこともあるため、少しずつ塗布することが大切です。財布やキーケースなどの小物は、米粒ほどの量でケアできます。

適量かの判断ポイントは、乾いた手で触れたらしっとりとした感触を軽く覚える程度です。触れたときに手にベタっとひっついてくる感じがあったら油分が過多になっている証拠なので、乾いた柔らかい布で拭きとりましょう。

3. 革製品の全体にオイルを薄くなじませるように塗る

オイル(クリーム)を全体になじませます。染みにならないように、さっと薄く塗り広げてください。

ファスナーや引き手の金具にもメンテナンスオイルを塗り込むと、サビ防止になります。すべりをよくするために、ケアしておくことをおすすめします。

4. 布で乾拭きする

オイルやクリームを塗ったら、少し時間をおいて革に成分をなじませます。最後に乾いた布でもう一度拭きあげれば、お手入れは完了です。

柔らかくきれいな布で、やさしく拭いてあげてください。

5. 風通しのよいところで保管する

お手入れが完了したら、革製品が入っていた布の袋に戻して保管します。直射日光の当たらない、風通しのよい場所におくのがポイントです。

 

「オイル」と「クリーム」のちがい

オイルとクリームのちがいは、実は「液状かクリーム状か」という状態のちがいです。

革のメンテナンスに慣れていない初心者の方には、クリーム状のものをおすすめしています。

液状のものは革への浸透性が高いため、革の内部までしっかり保湿できますが、塗りこむ量が多すぎると、輪染みができたり油分過多でカビの原因になったりすることがあります。一方で、クリームは少しずつスポンジにとって塗布できるため、染みはほとんど気にする必要がありません。そのかわり、液状のものよりも革への浸透性が低いため、時間をかけてじっくりなじませてください。

Q3:保湿には「オイル」と「クリーム」のどちらを使うとよいですか?

オイルとクリームの使い分けは、個人の好みにもよります。お手入れに慣れてきたら「保湿に力を入れたい」「汚れをしっかり落としたい」「経年変化をもっと楽しみたい」といった目的によって、メンテナンス剤を使い分けるとよいと思います。